明日の風

作者:梁石日光文社文庫
文庫本裏書
第二次世界大戦中の大阪、在日コリアン二世の少年は、暴力の権化のような父、働き者の母、やさしく内向的な姉、小さな妹に囲まれて育つ。
疎開先の村でも、空襲で焼け跡となった街でも、復興していく繁華街でも、その激動と激情の日々は変わることがなかった!
忌まわしき非日常と愛しき日常生活が背中合わせの時代に、少年が青年へと成長するまでを描き切った傑作長編小説!


疎開先で友人が溺れ死に、妹は病気で死亡するが、主人公は淡々としている。
メンコにのめり込み、けんかになり、中学生になると、万引きや覗きに精を出す。
夜間高校に入り、詩の制作に取り組むようになる。
作者の自伝的作品だが、「血と骨」とダブっている部分が余りにも多い。
帰国事業に悩む人たちの描写は面白いが、「血と骨」の出来には遠く及ばない。


明日の風 (光文社文庫)

明日の風 (光文社文庫)