過去を盗んだ男

作者:翔田寛幻冬舎文庫
松平定信の改革が頓挫した江戸には、無宿人を排除するためにできた人工島があった。
浪人の倫太郎は、仲間を募り、身分を偽り、その島に潜入する。
狙いは定信が改革で風俗業から没収した埋蔵金
牢役人を買収し、井戸掘りを志願し、千両箱を奪い取る計画は順調に進む。
ところが、井戸を掘る現場で、殺人事件が発生する。
拷問を受けた末に殺害された死体を見て、町役人は過去の怨恨を調べ始める。
思わぬハプニングに巻き込まれた倫太郎は井戸掘りを急ぐ。
もう少しで千両箱に手に届くところで、身分がばれる事態が発生。
千両箱を奪取するか、あきらめて逃亡するか追い詰められていく。


冒頭の押込み強盗に妻子を殺害された役人の無念が、終盤にシンクロする。



宝探しと、ミステリが並行する時代小説。
人物の造詣には共感できない部分もあるが、面白く読んだ。
でも、傑作とまではいかない。


過去を盗んだ男 (幻冬舎文庫)

過去を盗んだ男 (幻冬舎文庫)