家族

作者:小杉健一|双葉文庫
ホームレスが民家に忍び込み、認知症の老人を殺害した。
ホームレスが逮捕されるまでは、老人の長男が疑われていた。
テレビカメラの前で悪態をつく姿は、疑われるのに十分だった。

この作品は、この事件を裁く、裁判員制度で選ばれた人たちを描いている。
同じく、認知症の母をケアするみな子は、委託殺人なのではと考える。
裁判員は、みな子のように、自分を投影しているわけではなく、面倒を早く片付けようとしていた。


徐々に、みな子の真摯な姿勢に同調する裁判員が増えてくる。
同時に、殺害された老人と、容疑者となったホームレスとの密約も明らかになる。
家族に迷惑をかけたくない。そんな思いが悲劇を生んだ。
切実な状況を解き明かすのには、推測から始まり、やがて核心に迫る。

ちょっと重いし、結末もありきたり。悪くないのだけど。
土曜サスペンス劇場のシナリオのような作品で、面白い。



家族 (双葉文庫)

家族 (双葉文庫)