腐葉土

作者:望月諒子|集英社文庫
高級老人ホームで、資産家の笹本弥生という85歳の女性が死体で見つかった。
金を集っている孫の大学院生の健文が、犯人として疑われる。
また、健文の異父兄を名乗る会田良夫が、弥生を看護していて、話はややこしくなる。
弥生が関東大震災東京大空襲を生き延びるエピソードは、ストーリーに重さを与えている。
この部分だけでも、読みごたえはある。


会田良夫の虐げられた半生と、弥生の顧問弁護士の謎めいた行動も面白い。
また、孫である健文がのめり込んでいる考古学の研究室でも不正が発覚する。


興味深い伏線がふんだんに張り巡らされたミステリ。
惜しげもなくそれぞれの人物の不幸な状況がスリルのある展開でつづられる。


ただ、文章に拙さがあり、読みにくい作品だった。


腐葉土 (集英社文庫)

腐葉土 (集英社文庫)