私を知らないで

作者:白川三兎|集英社文庫
中学2年生の「僕(黒田)」は、夏の終わりに神奈川県に引越しをする。
親が銀行員で、転校には慣れていて、いじめられない術は身につけている。
新しい中学校でも、キーマンを見つけ、無難な学生生活をスタートさせた。
だが、クラスで誰よりも美しい少女は、本名でもない「キヨコ」と呼ばれ、無視されていた。
「キヨコ」の生い立ちは複雑で、両親はすでにいない。
黒田は「キヨコ」に興味を持つが、イジメの対象になることを恐れ、近づけない。
黒田の後に転校してきた三四郎が、クラスをかき回し、黒田は「キヨコ」に接近することに成功する。
複雑な家庭で育ったキヨコだが、実はたくましく生きる術を身につけていた。
クラスの人気者となった三四郎が、不幸な事件に巻き込まれ、黒田は「キヨコ」を守ることを決意する。



黒田が根拠もない高い位置にいると錯覚して、痛みを共有せずに、救おうとする姿はイタい。
自意識過剰な中学生を赤裸々に描いており、共感する部分はあった。話も面白かった。

私を知らないで (集英社文庫)

私を知らないで (集英社文庫)