オヤジ・エイジ・ロックンロール

作者:熊谷達也実業之日本社文庫
印刷会社に勤め、50歳を目前にした功也は、学生時代にのめり込んだエレキギターを手にする。
楽器屋で購入したギターは予算をオーバーしており、妻にごまかす言い訳を考えた。
功也は親切な楽器店の店員のアドバイスを受け、他の機材も購入し、休暇にギターを弾き始める。
徐々に昔の感覚を取り戻した功也は、会社の部下の薦めでバンドを組もうとする。


大学時代の功也は、ディープパープルのコピーバンドのギタリストしてそれなりに活躍していた。
ライバルバンドの女性ボーカリストから引き抜かれ、プロを目指そうと本気になった時期があった。
学園祭で成功したことをきっかけに、レコード会社から声をかけられるが、結果は残酷だった。
プロになれたのは、功也の恋人となった女性ボーカリストと、引き抜かれる前のバンドのキーボーディストだった。


学生時代の挫折と再びギターを手にして、純粋に音楽を楽しもうとする対比がすごくよかった。
かつての仲間とも再会し、オヤジバンドは地区予選の決勝を勝ち抜き、全国大会に出場する。
おっさんが趣味に再びのめり込んでいくところは共感を覚えた。
これは、非常に良い作品だった。