桃色東京塔

作者：柴田よしき｜文春文庫
警視庁一課の刑事の黒田は、北関東の過疎地に不本意な捜査に赴く。
黒田はノンキャリながら、順調な出世をしていたが、直前に大きな失敗をしていた。
自分の先行きを悲観していたが、過疎地の県警で係長を務める小倉日菜子に出会う。
日菜子は、警察官の夫を交通事故で亡くしており、警官を続けるか迷っていた。
傷心の2人は、事件の捜査で心を通わせる。
事件解決後は、黒田は東京に戻り、日菜子は過疎地で日常の業務に戻る。

この作品は連作集になっている。
日菜子の同郷のシェフが、東京で黒田と関わる表題作。
ホームレス殺害事件。日菜子の故郷に銃を埋めたチンピラ。
東京青山の老朽化した団地で殺害された元刑事。
孤独死した老人の日記から明らかになる殺人事件。
頻発する昏睡強盗。
東京で挫折を味わう地方出身者と、田舎で朽ち果てていく老人の対比。
いずれの話にも、黒田と日菜子の交流があり、警官による遠距離恋愛小説となっている。
不思議な印象だが、面白かった。

桃色東京塔 (文春文庫)