もぐら 讐

作者:矢月秀作|中公文庫
元刑事の活躍を描いたシリーズ2作目。
前作で、単独で麻薬組織を壊滅に追い込んだ影野は、主犯を殺害し、刑務所に送られる。
影野の収監中に、都内では現職の警部補がリンチの末、惨殺されるという事件が発生した。
事件直後に、カルト教団の幹部の有馬が自首し、影野の刑務所に送られる。
警察上層部は、カルト教団が何かを企んでいると考え、影野に有馬の監視を指示する。
体格と体力に恵まれた有馬は、影野の同房の囚人を殺害し、刑務所の乗っ取りを企てていた。
影野は有馬の企みに気づくが、刑務所長の妨害を受け、独房に放り込まれる。
その間に有馬はカルト教団の計画を実行し、弁当の仕出し業者に銃器と爆発物を持たせ、刑務所を制圧する。
刑務所内では殺戮が始まり、影野の独房にも爆弾が投げ込まれる。
その後、カルト教団は犯行声明を出し、さらなる標的を攻撃すると告げる。
影野は重傷を負うが、超法規措置により、刑務所をでて、かつての同僚たちとカルト教団を追う。


1作目は元刑事による復讐譚だったが、2作目はさらに過激な展開となっている。
殺人を犯した服役囚が、捜査の腕を買われ、警察に請われて、協力するのはありえない展開。
荒唐無稽という表現がぴったりだが、面白いと思う。
荒唐無稽なシチュエーションのおかげで、影野はストイックな人物として設定されている。
そこは少し残念かな。


もぐら 讐 (中公文庫)

もぐら 讐 (中公文庫)