ダウン・バイ・ロー

作者:深町秋生講談社文庫
山形県の衰退する田舎町を舞台にしたバイオレンス小説。
響子は一応進学校に通っているが、父親は自殺しており、パート勤めの母は酒びたりだった。
父の自殺の原因となった有力者の娘の遥が同級生で、響子は遥に集っていた。
冒頭で、遥が響子の目の前で、列車に飛び込んで自殺してしまう。
直後から、響子の頭の中に遥の声が聞こえるようになる。
イジメによる自殺と片付けられ、響子は周りから批判の対象となってしまう。
一緒に集っていた連中は学校に出てこなくなる。
響子が密かに好意を寄せていた男子生徒も、嫌悪感を表すが、その後、失踪してしまう。
同じころ、町で唯一のショッピングセンターで、小学生の子供がめった刺しにされ殺害される。
ネットでは、その子供が殺害された凄惨な現場写真が流れ、響子はその写真を見てしまう。
遥の声を聞きつつ、閉鎖的な町に流れる悪意と、不穏な雰囲気を感じ取る。
学校からは仲間ハズレにされ、母からは信用されていない。
頼れる人は誰もいない。男児の殺人事件を調べているつもりもないのに、不審人物が現れる。
やがて、響子は町の権力者が犯した計画殺人事件に巻き込まれていく。


イジメをしていた女子高生という、あまり共感を持てない主人公だが、ストーリーは面白い。
地方都市に存在してそうな小悪党はありきたりだが、殺人狂が絡み、スリルがあった。


この作家には、出身地の中学生マット殺人事件をベースにした作品をぜひ書いてもらいたい。



ダウン・バイ・ロー (講談社文庫)

ダウン・バイ・ロー (講談社文庫)