奔る合戦屋(上・下)

作者:作者:北沢秋|双葉文庫
哄う合戦屋」の続編だが、時系列では主人公の石堂一徹の若き日の活躍を描いている。
信濃の豪族の村上良清の配下に、石堂一徹という武将がいた。
彼は、家中の勘定奉行の次男で、19歳だが、人並み外れた体型に、抜群の武芸の腕を持っていた。
加えて、天下を取るための戦術眼を備えており、譜代ではないが出世していく。
一徹は自由に操れる少数精鋭の配下も鍛えており、合戦のたびに武名を高め、村上家の所領を増やしていく。
妻を迎え、石堂家の采配も順調だが、一徹と良清との間で齟齬が生じ始める。
その場の戦に勝つことしか眼中にない良清と、信濃一国の支配を計画する一徹。
やがて、甲斐の武田信虎信濃に進攻し、危機感を強める一徹に、良清は武田と組み、中信濃を攻略する。
戦に強い良清はいつでも武田には勝てると考えていたが、一徹は武田の領地経営の巧妙さに戦慄を覚える。
良清は一徹の諫言を疎ましく思い、独自に武田を攻略しようとし始める。
その結果、一徹の郎党に悲劇が訪れる。


「哄う合戦屋」の続編だが、主を超える才能の持ち主の悲劇を描いた作品。
面白いが、続編でも同じ轍を踏んでいるのがどうなのかなあと思った。
1作目のスピンオフ的な作品だが、石堂一徹の魅力は伝わってくる。


奔る合戦屋(上) (双葉文庫)

奔る合戦屋(上) (双葉文庫)