深く、深く、砂に埋めて

作者:真梨幸子講談社文庫
子役女優として活躍した野崎有利子は、美貌を保って、様々な男に寄生している。
エリート風のサラリーマンとパリへの航空券を購入するところから話は始まる。
パリに向かう機内で、有利子の母親がこの作品の語り手に話しかける。
100ページを過ぎるまで、有利子のウォッチャーが誰かわからないところはミステリアスだ。
エリートサラリーマンの斎藤は、犯罪に手を染め、逮捕される。
全ては有利子の生活を満足させるためだったが、詐欺仲間を殺害していた。
有利子のウォッチャーだった人物は弁護士で、共犯として拘留された有利子の弁護を引き受ける。
状況は有利子にとって、かなり不利だが、斎藤は有利子のために罪をかぶろうとしている。
斎藤が有利子にハマった状況が手紙で綴られる。これがこの作品の主題で、読み応えがある。
有利子は本当に悪女なのか?意外な真犯人と、有利子と斎藤のその後には驚かされる。
悪女に振り回される男には責任がないのだろうか?
ストーリーの面白さに加え、結末の余韻は、何となく考えさせられる作品だった。
この作家はそろそろブレイクしそうだ。


深く深く、砂に埋めて (講談社文庫)

深く深く、砂に埋めて (講談社文庫)