巡る女

作者:山本甲士|中公文庫
幼いころ祖父を海の事故で失っためぐるは、大学を留年し、公務員試験を受ける。
試験当日、駅に向かう途中、突然の豪雨に襲われる。
濡れたまま駅に向かう。雨宿りをして雨がやむのを待つ。タクシーを拾う。
3つの選択肢があった。めぐるはどれを選択するのか?
3つの選択をしためぐるのそれからが描かれる。
濡れたまま駅に向かっためぐるは、公務員になったものの、30代後半になり、未だ独身。
文化施設を作るための仕事をしているが、仕事にはやりがいを感じていない。
雨宿りをしためぐるは、同級生の運転する車に声をかけられ、そのまま同級生を結婚する。
子供は生まれたものの、夫はリストラにさらされ、あまり幸せではない。
タクシーを拾いに行っためぐるは、事故渋滞に巻き込まれ、試験は受けられず、転落人生を送る。
就職できないまま、風俗嬢となり、その後はスナックのチイママにおさまり、携帯小説を書いている。
めぐるの3つの人生で、それぞれ試練がやってくるが、それぞれ面白い。
結末はひとつのシーンで締めくくられるが、良い話だった。


巡る女 (中公文庫)

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