怪談歳時記 12か月の悪夢

作者:福澤徹三角川ホラー文庫
1月ごとの怪談を収めた短編集。
正月に寝たきりの祖父から鬼の話を聞かされる話から始まる。
結婚するまでのつなぎと考えていた女性にからめ捕られる2月の話。
子供のいない夫婦の前に現れた同級生に胸を躍らせる妻が期待を抱く3月。
連れ去られた車で記憶をなくし、3ヶ月後に自宅に戻った女子大生に不思議な電話がかかる4月。
会社で必要とされていない男がビルの屋上から滑り落ち、脱出しようとする5月。
家を売るなという母の遺言を守る男が、昔の恋人を思い出す6月。
いわくつきの島に合宿の引率に出かける教師の過去が暴かれる7月。
8月は都会に出た女子大生が地元に残ったボーイフレンドに復讐される話。
引っ越したOLが恋人を自宅に招いたことで、疑心暗鬼に陥る9月。
家族旅行に出かけたものの、渋滞に巻き込まれ、挙句の果てに事故を起こす10月。
家族から見捨てられ、ネットゲーム廃人となった青年の末路を描いた11月。
12月はラブホテルで働く初老の男性がトラブルに巻き込まれる話で締めくくられる。
作者にしては小粒なストーリーで構成されているが、一定のレベルを保ち、面白かった。