バベルの末裔

2020年の日本。
大手通信会社に研究員として働く敷島は、意識を持つコンピュータを作りあげた。
敷島は東大を出て、その後、米国の大学で様々な学問を学んだ。
彼を知る人は「天才」だというが、論文を出すわけではなく、無名の存在だった。
彼が、意識を学ぶコンピュータを作ったのは、幼くして命を落とした娘の存在があった。
通信会社のトップは、このコンピュータを生命保険会社とタイアップして商品化を考える。
これから死ぬであろう人のデータを入れ、死んだ後も遺族はコンピュータを通じて、会うことができる。
この研究には倫理的な問題もあり、意識を持つコンピュータに政府は懸念をいだいていた。
それでも通信会社は、モニタを募り、商品化に向けて、計画を進める。
ところが、故人の人格を持ったコンピュータが段々と、別の人格をのぞかせる。
気づいた時には、日本のインフラにトラップを仕掛けられ、コンピュータの反乱がはじまる。


冒頭の通信会社のトップが集まり、「意識とは何か」という議論は少し難しい。
また新聞社、政治家、タクシーの運転手と、様々な視線で描かれるが、タクシー運転手の暴走は疑問。
ディテールの細かな部分で不満はあるが、面白い話だった。


バベルの末裔 (講談社文庫)

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