ハナシが動く!

作者:田中啓文集英社文庫
飲んだくれの落語家と、暴走族上がりの弟子が巻き起こすドタバタ劇の4作目。
腕は確かだが、酒と金にだらしない偏屈者の笑酔亭梅寿。
弟子の竜二は梅寿の理不尽な暴力を受けつつ、落語の魅力に気付いていく。
だが、このまま梅寿の元にいても芽が出ないのではと、竜二は師匠に内緒で様々なことに手を出す。
おかしな筋に営業をして、怪しげな客の前で一席打ち、インディーズレーベルの社長に接近する。
また、即席漫才コンビで登竜門の「M壱」にエントリーする。
今までの作品に比べると、竜二の自立しようとする行動が目立つようになる。
そこを結果的に梅寿が引き留めると言うオチで、短編が9話収録されている。
面白いのだが、そろそろ着地点も見せてほしいところ。
このまま続けるのであれば、竜二の飛躍的な成長がないと、先は尻すぼみになるように思う。
作者は大阪の人には珍しく、作中にダジャレを使う。(他の作品でも多用する)
自分はダジャレは好きではないが、この作者のモノはなんとなく笑ってしまう。
でも、それがオチになってしまうのはちょっと残念でもある。

笑酔亭梅寿謎解噺 4 ハナシがうごく! (集英社文庫)

笑酔亭梅寿謎解噺 4 ハナシがうごく! (集英社文庫)