赤い糸

作者:吉来駿作|幻冬舎文庫
一人の命を救うために、4人が協力し、赤い糸で結びあう。
自殺した叔母がかつて参加した儀式の話に修平は強烈な印象を植え付けられる。
大学生になった修平は、想いを寄せる美鈴から、同じような儀式への参加を要請される。
美鈴の婚約者の男性が末期がんで、彼を救うために美鈴と修平と他の男性2人の計4人で香港に向かう。
そこで彼らは、怪しげな場所に連れ込まれ、不思議な現象を目の当たりにする。
「ここで見たことを誰かに話せば、4人は全員死亡する」とくぎを刺される。
美鈴の婚約者は癌細胞がなくなり、快癒する。
だが、美鈴の婚約者の話は大学生の同級生が知っており、修平や美鈴は体調不調に悩まされる。
他の参加者の男性二人もあっという間に末期がんとなる。
叔母の自殺の様子を思い出した修平は、儀式の内容を思い出し、生き残るチャンスを探る。
だが、そのためには、儀式で縛った身体の器官を切り落とさないと、死からは生還できない。
修平は小指だったが、美鈴は足首だった。修平は美鈴の足を切ることができるのか?


デビュー作の「キタイ」もそうだが、登場人物のまとう負のオーラが強烈だ。
過去を悔い、自分は生きていていいのだろうかというネガティブな思考。
だから簡単に死を受け入れることが出来る。
でも、この雰囲気は何となくだけど、今の世相にマッチしているように思えてならない。
暗い話で絶望が満ちているが、面白いホラーだ。
ただ、デビュー作ほどの強烈な印象はない。


赤い糸 (幻冬舎文庫)

赤い糸 (幻冬舎文庫)