狐火の家

作者:貴志祐介|角川文庫
硝子のハンマー」で登場した防犯ショップ店長の榎本と自称美人弁護士の純子が活躍する連作集。
4つの作品が収録されており、いずれも密室のトリックを解明する内容となっている。
表題の「狐火の家」は長野の資産家の家で、長女が何者かに殺害され、第一発見者の父親が疑われる。
たまたま旅行中の純子は行きがかり上、調査をするが、父親が犯人とは思えなかった。
父親の嫌疑を晴らすためには、犯人がどうやって密室から消えたかを証明しないといけない。
純子は榎本を呼び出し、榎本は密室のからくりをいとも簡単に暴くが、東京で第二の殺人が発生する。
「黒い牙」は毒グモを飼っている和菓子の会社社長がクモに咬まれて死亡する。
一見事故に見えたが、社長は不注意にしては不可思議な個所を咬まれていた。
ここも密室で、容疑者は2人と思われ、依頼人に巻き込まれた純子は、榎本に電話で助言を求める。
「盤端の迷宮」はプロの棋士が、ビジネスホテルで殺害され、現場にはマグネット将棋の棋譜が残されていた。
警察の恫喝で、榎本が現場に呼び出され、密室の謎を解くが、棋士の世界のエピソードが面白い。
「犬のみぞ知る」は劇団の座長が殺害され、3人の劇団員が疑いをかけられる話。
この話は前の3篇と比べると短く、おちゃらけの要素が強い。


この作家は全般的にストーリーは面白いが、自分にとっては当たり外れがかなりあると思っている。
この作品はどちらかといえばハズレかな。


狐火の家

狐火の家