TOKYO BLACKOUT

作者:福田和代|創元推理文庫
東京がテロにより、大停電を引き起こす話で、この夏の節電を考えるとタイムリーな内容。
輪番停電など、震災後に定着した言葉がでてくるが、この作品は2008年に発表されている。
また、八王子ナンペイ事件や闇サイト殺人事件など実際にあった事件をベースにしている。
犯人、警察、電力会社と3者の視点で話は進み、作者の用意した素材と伏線は満点だと思う。
スピードのある展開も引き込まれるし、電力会社と警察の人物描写も上手い。
ただ、主犯の人物描写と、ベトナム人グループとの接点が弱い。
一般市民のパニックシーンも、武道館のコンサートだけでは伝わってくるモノは少ない。
突っ込みたくなるところは多いけど、それなりに面白い小説だった。
作者は震災の前に書いており、いざというときの電力不足の対応を説明しているのには驚いた。


TOKYO BLACKOUT (創元推理文庫)

TOKYO BLACKOUT (創元推理文庫)