記念日

作者:香納諒一光文社文庫
目覚めると、記憶を失っており、横浜のチャイナタウンで保護された主人公。
中国マフィア、日本の公安警察、CIAから狙われ、アンという中国女と逃避行が始まる。
主人公は中国人で、日本の中国マフィアの顔役の弟ということらしい。
次から次に訪れる危機に、なかなか戻ってこない記憶とスリルはあり、飽きさせない。
この作家は話を作るのが上手い。でも、これといったヒット作がない。
それはこの作品でも感じたのだが、展開がもどかしく思うのだ。
自分はこの人の作品のもどかしさも含め、ストイックな人物造詣が気に入っている。
ストーリーテラーとしては十分な力量があるだけに残念に思う。
古典的な正義の味方を描く正統派の作家だけに、あと少しの工夫でブレイクするはず。


記念日―anniversary (光文社文庫)

記念日―anniversary (光文社文庫)