新選組 幕末の青嵐

作者:木内昇集英社文庫
新撰組の顛末を、隊員と取り巻きの人の視点から描いている。
武士になることを念願に新撰組を立ち上げた近藤は俗物である。
土方は理念を持たないが、組織を動かす力と人に対する洞察力が優れている。
沖田は剣の腕は抜群だが、社会情勢を読もうとしない。だが、感が鋭い。
山南は新撰組の中では常識人だが、その力を発揮できないまま埋もれて行く。
永倉は時代の情勢が一番見えており、近藤や土方にも意見が言える存在。
斎藤も永倉と同様、時代が見えていたが、人を切ることに情熱を燃やす。


新撰組とその隊員がたどった道を、史実にそって描き出している。
オーソドックスな内容で、新撰組のことを知ろうとする人には入門書になるだろう。
ただ、新しい切り口はなく、新撰組の作品を読んでいると少し物足りない。
話は綺麗にまとまっているし、内容も悪くない。
でも、メジャーすぎる存在にあまりにも正面から描き過ぎだと思った。


新選組 幕末の青嵐 (集英社文庫)

新選組 幕末の青嵐 (集英社文庫)