銀行仕置人

作者：池井戸潤｜双葉文庫
東京シティ銀行のエリート行員黒部は、通信会社への融資の失策のため、人事部付へ左遷される。
通信会社の社長と銀行の常務に嵌められたこと気付いた黒部だが、閑職で仕事もなかった。
絶望した黒部に人事部長が救いの手を差し伸べる。
常務の子飼いの部下に接触するために「臨店指導」の名目で、黒部は支店を周り始める。
常務の威光をかさに、暴君となった支店長を一人ずつ処分していく。
黒部に対して反感を持っていた行員の中から、黒部の味方が現れる。
通信会社の社長が雇ったヤクザの襲撃をかわし、ようやく黒部は常務を追い詰める。
銀行を舞台にした復讐譚で、先日読んだ「仇敵」とディテールはほぼ同じ。
でも、面白いと感じるのは、偉そうなエリートが敗北に追い込まれるときの無様な描写だ。
前作もそうだったが、銀行の偉い奴はかなりの確率で悪いと思わせる。
表に出ない卑怯な敵役としては、銀行エリートって最適なんだろう。
東京電力の首脳陣に復讐する話も書いてほしいな。

銀行仕置人 (双葉文庫)