悼む人(上・下)

作者:天童荒太|文春文庫
坂築静人は、不慮の死を遂げた人たちを悼むため、全国を放浪している。
新聞や雑誌などで報道された死に目を通し、野宿をしながら旅をしている。
彼は幼い時から死に敏感だった。
医療系のメーカーに就職してからも、病院に頻繁に訪れ、入院している人たちを見舞った。
就職してから数年後、友人の死をきっかけに「悼む人」となる。
雑誌記者の蒔野はふとしたきっかけで静人と出会い、悼む気持ちに言いがかりをつける。
だが、静人の姿勢を見ているうちに、事件への取材の仕方が変わっていく。
静人の母、巡子は末期がんに冒されているが、息子の帰還を願いつつ、普段通りの生活を送っている。
夫を殺害し、服役したのち出所した倖世は、静人と出会い、悼む旅に同行する。
静人には自らを明かすことはないが、倖世は夫の亡霊に取り憑かれていた。


死をテーマにした作品で第140回直木賞受賞作。
この作家の作品は、思いつめた人や心に大きな傷を負った人がたくさん出てくる。
本作も例外ではなく、死というテーマを扱っているので、さらに重苦しい作品となっている。
7年かけて書き上げた作品らしいが、「そんな奴おらんやろ」で片付けてしまうこともできる。
死に対する示唆に富む文章は考えさせられることが多かったけど、あまりなじめなかった。
この作家は面白みがないのだと思う。


悼む人 上 (文春文庫)

悼む人 上 (文春文庫)