三陸海岸大津波

作者:吉村昭|文春文庫
東日本大震災後から売れているらしい。
作者の作品はかなり読んだが、これは読んでいなかった。
明治の津波昭和8年津波チリ地震による津波と3部構成。
180ページと短いのですぐに読み終えた。
明治の頃は三陸の寒村で、通信もすぐに杜絶した。
残された記録は少ないが、挿絵と共に紹介している。
昭和8年津波では、自治体の書道の早さが現代とそんなに変わらない。
また、この作品が書かれたのが昭和45年なので、生き残った人の証言が収められている。
小学生たちの生々しい文章も紹介されている。
チリ地震は被害が少なかったのか、描写は少ない。
井戸の水の変化、異様なほどの大漁などの共通点は今回の災害に通じるものがある。
ただ、映像の時代になり、今回の震災は一般市民の撮った動画が強烈だった。
なので、この作品は記録文学としては物足りなく感じてしまう。

三陸海岸大津波 (文春文庫)

三陸海岸大津波 (文春文庫)