反自殺クラブ

作者:石田衣良|文春文庫
池袋ウエストゲートパークの5作目。
西口商店街で母と果物屋と開き、若者向けの雑誌にコラムを書くマコトが主人公。
4編の中編が収録されていて、マコトの独白により話が進むパターンは一貫している。
「スカウトマンズ・ブルース」は風俗のスカウトマンと彼に惚れるウエイトレスの話。
「伝説の星」はかつて大ヒット曲を出したロッカーが池袋にロックの聖地を作ろうとする話。
「死に至る玩具」は風俗の呼び込みをしている中国人の女が、姉の仇を討とうとする話。
「反自殺クラブ」は自殺系サイトを潰そうとする、親を自殺で失った遺児たちの活動。
自殺や格差など、社会的な話題をモチーフにした話にシフトしているが、軽快な語り口は相変わらず。
それぞれの話はそれなりに面白いが、少しスリルに欠ける。
また、マコトの周りでは簡単に人が死ぬけど、感情が乾いている冷たさも感じる。
それで、これは作りモノだと今一つのめり込めない。

反自殺クラブ 池袋ウエストゲートパークV (文春文庫)

反自殺クラブ 池袋ウエストゲートパークV (文春文庫)