純平、考え直せ

作者:奥田英朗|光文社
坂本純平は21歳で、故郷の埼玉では親に恵まれず、グレて歌舞伎町でヤクザの見習いをしている。
兄貴分の北島に憧れ、兄貴のようになりたいと思うが、歌舞伎町の住民にはからかわれる毎日。
北島が大阪に出張しているときに、頭越しに親分から呼び出された純平はヒットマンを命じられる。
ターゲットを弾く日まで、3日間の猶予がある。
娑婆で最後の贅沢を考える純平だが、様々な人と出会い、トラブルに巻き込まれていく。
ナンパした女性とホテルに行き、ヒットマンになることを明かすが、その女性がネットの掲示板に書き込んでしまう。
掲示板で書き込まれる内容と、純平の行動が交互に描かれるが、テンポがよく面白かった。
窮地に陥る主人公が、さらにトラブルに巻き込まれていく進行は作者得意の流れだ。
また、カリカリしている主人公に、空気を読まずに絡んでくる脇役のとぼけた感じは落語チックでもある。
殺伐としたネットの書き込みもギャグになっている。

純平、考え直せ

純平、考え直せ