境界殺人

作者:小杉健治|講談社文庫
土地家屋調査士のゆう子は30代半ばで、父から受け継いだ事務所を経営している。
登記や測量に関する相談やトラブルに対応している。
影のある美青年の拓也と、彼に想いを寄せる恵と、父の代からの事務員の富子。
4人で切り盛りしている事務所に、隣家とトラブルを抱えた男性が訪ねてくる。
訪問客の牧橋は癌を患っており、生前に妻や息子たちに土地を分筆して相続しようと考えていた。
ところが、境界を決めるための杭が抜かれており、隣家の娘婿ともめ事を起こしていた。
ゆう子は両家のトラブルを解消すべく、調査に赴くが、交渉は上手くいかなかった。
隣家の娘婿は一筋縄でいかない人物だった。ゆう子も乱暴を受けそうになる。
絶望した牧橋は隣家の娘婿を刺殺してしまう。
ご近所のトラブルが昂じて、殺人に発展という方向で裁判が進む。
だが、牧橋に接していたゆう子は両家に隠された秘密があると考え、裁判を傍聴する。
牧橋が何かを守ろうとしていると感じたゆう子は、拓也と恵と密かに調査を開始する。
調査の末、単なる境界線のトラブルでなく、両家に横たわった長年の確執が明らかになる。
土曜サスペンス劇場のようなノリだが、話は面白かった。
この作家は良い話を書くし、ハズレは少ないのだが、あまり売れていないのが不思議だ。

境界殺人 新装版 (講談社文庫)

境界殺人 新装版 (講談社文庫)