収穫祭(上・下)

作者:西沢保彦|幻冬舎文庫
1982年夏、嵐に見舞われた過疎の首尾木村で、大量殺人が発生する。
被害者は10名以上にのぼり、大半の村民は鎌を首に突きたてられていた。
大量殺人を逃れたのはブキ、カンチ、マユの中学生3人だった。
逃げまどい、深夜の小学校の跡地で、全裸の教師と拘束された外国人を目撃する。
彼らの見た惨劇はここで終わり、報道記事は外国人が犯人だと断定した。
それから9年後、マユは事件の記憶を封印し、スナックで働いていた。
ある日、マユのもとに事件を追っていたルポライターが現れる。
マユに事件を思い出してほしいと迫るが、直後に関係者の家族が惨殺される。
凶器は鎌だった。マユはルポライターと事件を調査しはじめる。
事件から13年後、ブキは海外留学から帰国し、地元の高校で臨時講師になった。
ブキは事件の記憶を失っていたが、事件の関係者が現れ、徐々に過去を思い出す。
そして、やはりブキの周囲でも、鎌で殺害される事件が発生する。


導入部分となる首尾木村の大量殺人は八つ墓村を彷彿させる。
その後、生き残った中学生のその後の話は、マユもブキも記憶が曖昧になっている。
それを思い出させるための記述が非常に分かりづらい。
さらに彼らが事件の記憶が性的衝動のトリガーとなるので、思いもしない行動をとる。
暗黒ミステリという趣だが、ストーリーの破たんはない。
面白いのだけど、後味は悪い。

収穫祭〈上〉 (幻冬舎文庫)

収穫祭〈上〉 (幻冬舎文庫)