冷やかな肌

作者:明野照葉|中公文庫
大手商社に勤める34歳の夏季は、社内に少しずつ自分のポジションがなくなるのを感じていた。
そんな彼女に、商社は買収を考えているレストランへの辞令が出る。
そのレストランを切り盛りする女性は特徴はないが、仕事の手腕は目を見張るものがあった。
ただ、時々見せる冷酷な対応と、店のスタッフが頻繁に代わることに不審感を持つ。
夏季と共に出向した佳香も同じことを感じ、二人はこのレストランの背後を調べ始める。
このレストランを切り盛りする渡辺真理の過去を調べるが、空白の期間が存在していた。
どこかで本来の渡辺真理は誰かと入れ替わったのではと推理を進める。
だが、調査に協力していた佳香の従妹は中国人と見られる集団から嫌がらせを受ける。
直後に佳香は失踪してしまう。
恐怖を感じ始めた夏季だが、出向期間はまだ残っている。


人づきあいが希薄になった都会で一人暮らしをしていると、消えてしまっても誰にも気づかれない。
静かなホラーで地味だが実際にありそうで、リアルな面白い作品だった。
中国人が静かにそんな状況を浸食しているというのも実際にありそうだな。

冷ややかな肌 (中公文庫)

冷ややかな肌 (中公文庫)