踊る天使

作者:永瀬隼介|中公文庫
サラ金の経営者が焼けたビルから焼死体で見つかったが、彼の口は切り裂かれていた。
その直後、新宿歌舞伎町の風俗ビルでも放火とみられる火事が発生。
セクキャバの従業員と客、経営者も含め、数十人が死んだ。
ぼったくりバーの店長、セクキャバの常連の銀行員、危うく難を逃れたセクキャバの従業員。
3人は、放火犯を探そうと調査をするが、元消防士の遊佐が仲間に加わる。
サラ金の火事と歌舞伎町の火事には経営者が異常な死体で見つかっているという共通点があった。


この作品は放火魔を追う3人と、バブルのころにあった新宿の料亭の話が交互に綴られる。
バブル崩壊後に新宿の料亭で起きた凄惨な殺人事件と、現場から消えた数十億円。
歴史背景はフィクションで、モチーフは実際に起きた歌舞伎町の火事をベースにしている。
ぼったくりバーの店長、銀行員、セクキャバ嬢の視点から描かれる展開は面白く、緊迫感がある。
間に挿入されるバブル時代の怨念を綴った手紙も効果があった。
生きたまま焼かれて殺されるシーンはスリル十分だし、謎ときの後の火事からの脱出のシーンもいい。
非常に濃厚なエンターテインメントで面白かった。

踊る天使 (中公文庫)