棘の街

作者:堂場瞬一幻冬舎文庫
北関東の地方都市の北嶺で男子高校生の誘拐事件が起きた。
県警捜査一課のエースの上條が身代金の引き渡し現場に張り込むが、ミスを犯す。
その後、男子高校生の白骨死体が見つかり、上條は自分が解決するべく、北嶺へ再び赴く。
北嶺は上條が高校までを過ごした故郷だったが、亡くなった父との確執もあり、上條は嫌っていた。
北嶺署で同僚に煙たがられながら、独断で捜査をする上條は、記憶喪失の少年に出会う。
少年にある因縁を感じながら、かつての故郷に残る知人と再び交流を取り戻していく。


この作品は上條の視点と誘拐犯の視点から書かれているので、犯人は最初からわかっている。
徐々に上條が犯人に迫り、犯人も上條に気付くという記述のサスペンスで、盛り上げ方はいい。
でも、中途半端な田舎の故郷を徹底的に嫌い、同僚をことごとく馬鹿にする上條は病的だ。
これがギャグならわからないでもないが、普通のミステリなので、主人公には共感できない。
この作家の作品はこういった一見ストイックな刑事が主人公のことが多い。

棘の街 (幻冬舎文庫)

棘の街 (幻冬舎文庫)