八朔の雪

作者:高田郁|ハルキ文庫
江戸時代の後期を舞台に、上方の味を江戸で広めようと活躍する少女の連作集。
大坂から流れてきた澪は、江戸の蕎麦屋のつる家で、上方料理をアレンジしていた。
澪は水害で両親を失い、孤児になったところを天満一兆庵の店主に拾われた。
天性の味覚を持つ澪は、店主から料理を作ることを任される。
当時、厨房に女性が入ることは忌み嫌われたが、店主は澪の腕を買った。
だが、その店は火事でなくなり、江戸で出店している息子のもとを訪れた。
ところが、息子の店は借金のカタで抑えられ、息子は失踪してしまう。
店主は気苦労のため死亡。澪はご寮さんと二人で江戸で天満一兆庵の再開を考える。
つる屋の主人種市、若き医者の源斉、浪人の小松原のバックアップを受けた澪は創作料理をメニューに出す。

話は一つの料理がテーマになっており、その料理が江戸の住民に受け入れられる話になっている。
上方と江戸の味付けの違いもわかり、面白い小説だった。
特に、最終話で老舗に味を真似されたことにクレームをつけに行ったところは良い。
ストーリーも面白いが、創作料理を産み出すまでの過程がさらに面白い。
巻末にレシピが載っていたので、試してみようと思う。
人情物だが、面白い。

八朔の雪―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-1 時代小説文庫)

八朔の雪―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-1 時代小説文庫)