箕作り弥平商伝記

作者:熊谷達也講談社文庫
1920年代の日本。秋田の寒村で箕作りをする弥平が主人公。
弥平は生まれつきビッコだったが、箕作りでは村内一の腕前だった。
初めて自ら行商に出た時は、富山の薬商人に助けられ、自分の箕を売ることが出来た。
東方地方から、北関東まで行商のルートを開拓しようとするが、野宿していると警察に逮捕される。
身元を確認してもらい、釈放してもらったが、箕は誰も買ってくれなかった。
関東では箕作りはサンカが担っており、彼らは差別されていた。
サンカの少女のキヌに出会った弥平は一目ぼれし、北関東で箕作りをしようとする。
だが、サンカに対する差別は根強く、全国水平社の運動の高まりとともに村人との対立は一触即発。
キヌを嫁にもらいに行こうとした弥平は、暴動に巻き込まれてしまう。
被差別部落とサンカをモチーフにした小説だが、内容自体は弥平の成長話だった。
内容も文庫本で350ページと中途半端な長さで、悪くはないけど、面白くもなかった。
この作家はもっとシリアスで、過酷なテーマの方が面白い。
方言もわかりにくすぎた。