おもひで屋

作者:上杉那郎|ハルキ文庫
プロ注目の高校球児の西沢素晴は、甲子園出場の夢を断たれ、自暴自棄になっていた。
そのころ、自分を産んでから植物人間状態だった母が死亡する。
絶望に突き落とされた素晴のもとに「想い出チケット」が届けられる。
チケットの送り主に会うと、「想い出」を手に入れることができるという。
胡散臭さを感じながらも、母が植物人間になった理由を知るため、素晴は過去に旅立つ。
そこで出会ったのは、女子校生だった母と、自分と同じく県大会の決勝直後に失踪した父だった。
素晴の父である竜太は、母と同級生で、素晴と同じくエースピッチャーだった。
素晴が過去に戻った時、母はすでに素晴を身籠っており、竜太は野球より母との結婚を考えていた。
ただ、母にはその後の不幸な運命が待ちうけており、それが竜太のせいであることを素晴は知っている。
過去を変えるため、恋愛にうつつを抜かす竜太に代わり、素晴はマウンドに立つ。
わざと負けようとする素晴だが、マウンドに立つと全力投球し、勝ってしまう。
その試合後、素晴は竜太に様々な変化球を伝授し、ふたりを待ち受けている運命を告げる。
だが、未来からやってきたのは素晴だけではなかった。
二人の恋愛を阻もうとする存在も着いてきて、3人の邪魔をする。
運命を変えようとする素晴と、運命を受け入れながらも母を愛し続ける竜太。
タイムトラベルとパラドックスをモチーフとしたラブストーリーで、結末はいい。
でも、面白さは極々普通。

おもひで屋 (ハルキ文庫)

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