ラットマン

作者:道尾秀介光文社文庫
姫宮は30歳で、エアロスミスコピーバンドを高校時代から続けていた。
メンバーは高校の同級生で、ドラムだけはかつてのメンバーの妹に代わっている。
姫宮は幼いころ、姉を事故で亡くし、その直後に病床の父を亡くしている過去があった。
姉の死が普通ではないと幼心に感じていた姫宮にはたびたびフラッシュバックが訪れる。
姫宮はかつてのドラムのひかりと交際していたが、今は妹の桂に惹かれている。
いつも大宮のスタジオで練習をしていたが、そのスタジオで事件が発生する。
ひかりがアンプに押しつぶされて、死亡。
その直前の姫宮の不可解な行動にバンドのメンバーは不信感を持つ。
姫宮がひかりを殺したのではないだろうか?
一方で姫宮は、ひかりの妹の桂を疑っていた。
終盤のどんでん返しの連続は、ミステリーとして面白かった。


内省的なミステリーは、石持浅海伊坂幸太郎浦賀和宏に通じるものがある。
でも、この作者はさらに主人公を曖昧な状態においてストーリーを進める。
新しいタイプの作家で面白い書き手で、独自の世界観を形成している。
読者の世代で、好悪がはっきりしそうな作家だ。

ラットマン (光文社文庫)

ラットマン (光文社文庫)