サニーサイドエッグ

サニーサイドエッグ (創元推理文庫)

サニーサイドエッグ (創元推理文庫)

作者:荻原浩創元推理文庫
ペット探し専門の探偵、最上俊平の活躍を描いた作品。
前作の「ハードボイルドエッグ」は傑作だったが、続編が出ているのは知らなかった。
最上は相変わらず、ペット探しの探偵を続けており、金に困っていた。
そんな最上に和服の美女がロシアンブルーの捜査を依頼する。
行きつけの店のJから、助手を紹介されるが、金髪のいかれた家出少女茜だった。
茜に手を焼きつつ、俊平はペット探しのコツを伝授する。
いつもは暇な事務所だが、ヤクザが同じようなロシアンブルーを探してほしいと依頼してくる。
ヤクザの激しい暴力を目の当たりにした最上は、嫌々ながら引き受ける。
そのころ、最上の周辺では、小動物が虐殺される事件が起きていた。
警察に嫌われ、ヤクザに脅され、茜にはバカにされ、俊平はめげずに猫を探す。
ハードボイルドに憧れ、セリフまで真似をする間抜けな主人公に容赦ない暴力と突っ込みが入る。
「ハードボイルドエッグ」同様、ギャグサスペンスなのだが、こっちは少し暗いと感じた。
俊平のイキがった台詞と、その後痛めつけられるシーンは小説なのに笑える。
この作家の力量はたいしたものだと感心する。
そろそろ、有名な賞を受賞しても不思議ではないが、この作品は彼の作品の中ではそんなに面白くないと思う。