モンスター

作者:百田尚樹幻冬舎
すごい美女が地方都市にやってきて、レストランをオープンする。
彼女の美貌を見たさに、大勢の客がやってきて、店は繁盛する。
だが、この美女は、かつてこの町で伝説にもなった醜い女性だった。
彼女が醜く生まれ、この町で学生時代を過ごす様子が、残酷なタッチで描かれる。
誰からも愛されず、嘲笑の対象になっている様は、読んでいても辛い。
さらに彼女は、初恋の男子生徒に対して、犯罪的な行為をして、町を出ていく。
故郷を追われ、東京に出てきた彼女だが、短大でも、就職先でも屈辱を味わう。
金銭面でも不遇をかこっていた彼女は、自分の容姿を変えるために、美容整形にすがる。
その費用を稼ぐために、風俗の世界に入ろうとするが、軒並み、断られてしまう。
SMクラブのM嬢として、コツコツと金をためた彼女は、徐々に整形で美しくなっていく。
完璧な美を手に入れた彼女は、故郷に戻り、復讐を開始する。


この作者は昨年の『永遠の0』から売れ始めていると思うが、この作品も読みごたえは十分だった。
不細工な女性の苦悩は十分なくらいのエピソードは盛り込まれていたし、惨めさと絶望は悲しくなるな。
ただ、ブラックな作品としては、新堂冬樹山田宗樹のほうが結末のまとめ方が残酷で上手い。
ストーリー展開は、十分に面白い小説だったが、何だろう?毒が足りないのかな。

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