凶悪

新潮45」編集部|新潮文庫
対立するヤクザを水死させ、シャブを使い、3人を殺害したヤクザの後藤。
彼は死刑囚となり、収監されていたが、新潮の記者に新たな殺人を告白する。
それは、資産家で身寄りのない人や家族の鼻つまみ者の始末だった。
「先生」と呼ばれた男性が主導し、少なくとも7件の殺人事件を計画していた。
記者は最初、半信半疑だったが、後藤と面会を続けるうちに、本物の事件だと感じる。
事業に失敗し、アル中となった男の保険金を得るために殺害を依頼する家族。
いくつかの告白の中から、この事件を調査し、警察に告発する。
死刑囚がさらに殺人を犯していたということで、数年前にメディアで話題になった事件。
実際に今、読んでみると改めて「先生」の凶悪さがわかる。
この文庫本では「先生」が実際に逮捕され、裁判で無期懲役になるところまで描かれている。
後藤は死刑はやむなしという犯罪を犯した上での告発だが、この動機が少し弱かったように思う。
それでも、衝撃的なルポであることは間違いない。

凶悪―ある死刑囚の告発 (新潮文庫)

凶悪―ある死刑囚の告発 (新潮文庫)