金春屋ゴメス

作者:西條奈加新潮文庫
近未来の日本、北関東に鎖国時代の「江戸」ができた。
日本は「江戸」の存在を認めていないが、「江戸」は過去に回帰していく。
住民は髷を結い、江戸時代の暮らしを再現し始めた。
日本と「江戸」の窓口は出島だけで、「江戸」への入国希望者は後をたたない。
大学生の辰次郎は、元「江戸」住民の父の願いを受け、江戸に入国する。
入国後の身請け先は、壱膳飯屋の金春屋だった。
金春屋の中には奉行所の別動隊が控えており、「裏金春」と呼ばれていた。
辰次郎は「裏金春」で、奉行所の下働きをすることになる。
親方はゴメスと呼ばれる巨漢で、癖毛の女性。
辰次郎は致死率100%の「鬼赤痢」から生還した過去を持っていた。
再び、「鬼赤痢」が発生の兆しを見せた「江戸」で、辰次郎は自身の記憶をたどることを命じられる。
生家にもどり、少しずつ記憶を取り戻す辰次郎だが、不審な妨害が入る。
ゴメスは「鬼赤痢」を人為的な細菌テロだと断定するが。
日本ファンタジーノベル大賞」受賞作で、舞台設定は魅力的だった。
ただ、登場人物の描かれ方が少し平凡で、話は面白いのだけど、ダイナミックに欠けるところが気になった。

金春屋ゴメス (新潮文庫)

金春屋ゴメス (新潮文庫)