放火-アカイヌ-

作者:久間十義|角川文庫
池袋の雑居ビルで火災が起き、風俗店の従業員と客の多数が死亡した。
捜査本部が置かれるが、対暴力団の四課が主導権を握り、暴力団の抗争かと思われた。
一方、新聞社には「日本人に復讐する」という外国人からの電話が入る。
新聞記者の美津濃まゆ子は被害者への取材で、亡くなった風俗嬢の彼氏に出会う。
捜査一課の黒田刑事はこの事件への捜査に駆り出されるが、本ボシとは程遠い捜査を強いられていた。
暴力団の抗争、あるいは警察内部の利権の闘争か、捜査は迷走する。
被害者の捜査と取材で出会った黒田とまゆ子は、刑事と記者という立場を越え、独自に犯人を探す。
モチーフは新宿歌舞伎町の火災なのは一目瞭然で、テーマとしては面白かった。
話の内容も悪くなかったのだが、細切れな話の展開、結末のパンチの弱さがマイナス。
こういう小説は、人物造詣でなんとかするものだが、主人公も平凡。

放火 (角川文庫)

放火 (角川文庫)