ベルリン飛行指令

作者:佐々木譲新潮文庫
太平洋戦争直前の日本では、新型戦闘機の零戦を日支戦線に投入し、大戦果をあげる。
ヒトラーは空中戦で苦戦を打開するために、零戦を自国に提供するよう命じる。
折しも日独伊三国同盟が結ばれ、日本の上層部は零戦ヒトラーに提供することにした。
英国や米国と戦火を交えることに消極的な海軍だったが、押し切られる形となった。
飛行ルートは台湾からインドシナビルマを通り、インド、イラクを通るルート。
ビルマからイラクまでは英国の支配が及んでいる地域で、現地工作が必要だった。
海軍省で秘密裏に計画を練り、インドで陸軍の情報将校がゲリラ勢力に協力を求める。
零戦パイロットは腕利きだが、札付きの安藤と乾が選ばれた。
飛行ルートを確保した海軍首脳部は、安藤と乾にベルリンへの飛行指令を出す。
前半は海軍省の大貫と山脇、陸軍の情報将校の柴田の活躍が描かれる。地味だが面白かった。
後半は安藤と乾の冒険譚を十分堪能できる。これは面白かった。
作者の太平洋戦争の3部作の1作目。
主要人物の大半が第二次世界大戦への参戦に対して懐疑的だが、任務に対してストイックなのがいい。
先に3作目の「ストックホルムの密使」を読んでいたので、ネタがわかる部分があったのは少し残念。
出来れば順番に読みたかった。それでも面白さを損なうものではない。

ベルリン飛行指令 (新潮文庫)

ベルリン飛行指令 (新潮文庫)