HotPepper

どいつもこいつもしょぼいな。
じゃあ中2の俺が万引き退治をした話をしてやろう。


一昨日かな。近所の本屋を出ようとした俺は、いかにも無職っぽい男を見つけたんだ。
俺が見てると、その男は入り口付近に置いてあった雑誌に手を伸ばした。
そしてぱらぱらとめくりだすんだよ。
そこまでなら俺も許せる。立ち読みできないようにしない店が悪いからな。
だがしかし、そいつはその本を小脇に抱え、店を出だすじゃないか!
俺はこっそりその男を追い掛けた。万引きはいけない事だから。
奴は反省する素振りもなく、それを読みながら街中を歩き出す。俺は限界だと思った。
「くらえ!」
俺は言葉と共に駆け出したね。そしてそいつの頭を殴った。
その痛みに振り向いた男は俺の方を見て何事かと睨んできた。
俺は叫んだよ。こいつ泥棒です、ってね。
その言葉に、通行人が俺たちの方を見る。
「誤解だ!」奴が叫ぶが知ったこっちゃない。何が誤解だ。 すると、
「子供が嘘を吐くかよ、おっさん」と、
正義感の強そうなヤンキー風の兄ちゃんが出てきた。
兄ちゃんがそいつを締め上げると、そいつは盗んだ雑誌と財布を地面に落とした。
それを指差して「こいつか?盗まれたのは」と聞く兄ちゃん。
「うん」
俺が答えると、兄ちゃんは地べたに落ちた財布を拾い上げ、そいつに示した。


「おいおいおい、おっさん。財布なんて盗んだんかよ。最悪だなお前」
あれ、と俺は思った。おっさんが盗んだのは雑誌だったから。
きっと兄ちゃんは勘違いしたんだろう。
まあいい、とも思った。どうせそいつは泥棒だ。前科一犯も二犯も変わらない、ってね。
「違う、それは・・・」
「違うもクソもねーだろ!!」
兄ちゃんのパンチがおっさんに炸裂した。
「こうして証人がいんだよ、証人が」
兄ちゃんが俺の方を示すので、俺はうれしくなった。そして
「そうだ、そいつが盗んだ」と言った。罪を認めないおっさんに兄ちゃんは
ついにキレたようで、おっさんを地面に叩き付けた。
「君、警察呼んでくれねーか?」
いいよ、と俺は言って最寄の交番まで駆け付けた。事情を説明すると警官は
「ありがとう。じゃあここからは我々に任せてくれ」
といって駆けていった。俺は塾があるから二人に任せてそのまま帰った。


にしても何であいつはあんな雑誌を盗んだんだろうか。
HotPepperだっけか?変な名前の雑誌だったことはよく覚えてるけど…
犯罪者の考えることはわからない。