新世界より

作者:貴志祐介講談社ノベルス
今から1000年後の日本。念力を自由に扱う人たちが小さなコミュニティを築いていた。
子供たちは学校で念力の使い方を学ぶが、劣等生はいつの間にかいなくなる。
過去のことは教えられず、「悪鬼」と「業魔」という忌まわしい伝説におびえていた。
あるとき、子供たちが結界の外に出て、過去の歴史を掘り起こしてしまう。
そのことで、子供たちは高僧により、念力を封じられ、ネズミ人間の抗争に巻き込まれる。
ネズミ人間は念力を使う人を恐れ、「神様」と呼ぶが、不穏な動きがあった。
子供たちは仲間を失いつつも、やがて成長するが、ネズミ人間が「悪鬼」を連れて反乱をおこす。
「悪鬼」の前に人はなすすべなく、殺害されていく。
900ページを超える長編SF小説だが、作者の想像力が全編に生かされている。
話を紡ぐ力に圧倒されながら、一気に読んだ。文句なしに面白い。
だが、読み手にも想像力を受け取るだけの集中力が要求され、少し疲れる作品でもある。
子供たちの同性愛の行為も少し嫌悪感があった。
寡作ながら、面白い作品を発表しており、駄作のない作家である。
でも、何が面白いかと言えば、やはり「黒い家」になるのかなあ。

新世界より (講談社ノベルス キJ-)

新世界より (講談社ノベルス キJ-)