秘匿 刑事・鳴沢了

作者:堂場瞬一|中公文庫
刑事・鳴沢了シリーズの8作目。
前作のニューヨークでの活躍で、左遷のような形で西八王子署に異動になった鳴沢了。
暇な職場で、正義を振りかざす鳴沢は最初から同僚に煙たがられる。
鳴沢は、赴任前に起きた国会議員の転落事故を不審に思い、単独で捜査にあたる。
すると、代議士の死の直前に女性と一緒にいた姿が目撃されていた。
事件性を確信した鳴沢は捜査を進めるが、地元の有力者からこれ以上はやめてくれと言われる。
さらに、目撃者が証言を翻し、同僚たちは冷ややかな視線を浴びせる。
だが、死亡した代議士が大規模収賄疑惑で事情聴取される予定であったことから、事態は一変する。
そこに鳴沢の友人で新聞記者の長瀬の出自にまつわるスキャンダルが浮かび上がってくる。
このシリーズは、鳴沢の周りにいる人物が事件の中心になるケースが多いが、今回は皮肉屋の記者だった。
シリーズの中では毛色の違う作品で、土地と家柄に縛られた人たちの過去を掘り起こしていくという話。
話は面白く、鳴沢は少し融通が効くようになっているが、何となく中途半端な内容だと感じた。
八王子と言えば東京都の西のはずれだが、今でもこんな閉鎖的な土地柄なのだろうか?

被匿―刑事・鳴沢了 (中公文庫)

被匿―刑事・鳴沢了 (中公文庫)