すぐそばの彼方

次期首相の本命と目される大物代議士を父に持つ柴田龍彦。
彼は4年前に自らが起こした不祥事のため、精神に異常をきたしていた。
妻子と別れ、幼馴染の女性と半同棲しながら、父の秘書を務め、復帰を目指していた。
だが、金銭的にも苦境に立たされ、借金を重ね、約束を忘れる始末だった。
龍彦がもがいている間に、政局は動き、龍彦の父は総裁選に出馬する決意を固める。
龍彦は徐々に自分を取り戻していき、適切な行動をとるようになる。
身内の不祥事、相手陣営の巻き返しを乗り越え、龍彦は参議院への立候補を打診される。
立ち直ったように見えた龍彦だが、4年前に自殺未遂を起こした事件の相手に会いに出かける。
朦朧とした行動から、シャープな言動を取り戻していく様は面白い。
だが、クライマックスで落とし穴がある。
政局に関してはわかりやすい説明があり、面白い内容だった。
ただ、後味はあまり良くない。

すぐそばの彼方 (角川文庫)

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