散る。アウト

作者:盛田隆二光文社文庫
サラリーマンの木崎は、先物取引に手を出し、あっという間に家族と仕事を失った。
会社を解雇され、家族には逃げられ、身ひとつで、東京に出て、ホームレスとなった。
戸山公園や日比谷公園で段ボールハウスに住み、日雇いで糊口を凌ぐ日々。
転落まではあっという間だった。目標の見えない木崎の前に尾形という男が現れる。
尾形は少額の報酬で、外国人との偽装結婚を持ちかける。木崎は深く考えずに話に乗った。
木崎の結婚相手はモンゴル人で、尾形とともにウランバートルに渡る。
相手はダワという24歳の女性だった。ダワの純粋さに惹かれた木崎は偽装結婚を疑問に思う。
だが、尾形が何者かに殺害され、木崎はダワを連れ、モンゴルからロシアまで逃避行を続ける。
その後もマフィアの追跡は続き、用心棒のロシア軍人も目的地の近くで死亡してしまう。
二人はウラジオストクまで逃げることができるのか?
主人公のあっという間の転落や、ホームレス社会の描写はリアルで面白かった。
また、モンゴルで巻きこまれるトラブルで、主人公が人間らしさを取り戻していく様には共感を覚える。
だから、結末のマニラの貧民窟をさまよう様が悲しい。
ストーリーは面白いのだが、何となく雑に感じた。この作者の作品の中ではイマイチ。

散る。アウト (光文社文庫)

散る。アウト (光文社文庫)