オレたちバブル入行組

作者:池井戸潤|文春文庫
80年代半ばに大学生だった半沢は、大手都銀への就職を目指し、活動に追われていた。
時はバブルで、大量内定が出ていた時代。半沢や同期の仲間の未来は明るかった。
時は流れ、現在の半沢たちの境遇は描いた未来と異なったものになっていた。
未来を嘱望された仲間は、精神を病んだり、閑職に追いやられたり、9.11で死亡したり。
半沢は大阪の大手支店で、融資課長として働いていた。
新支店長の浅野は、自分の出世のため、ロクに審査もせずに中堅企業に融資を命じる。
半沢は疑問を覚えながらも、融資をするが、半年もたたないうちにその企業は倒産してしまう。
浅野は、半沢に責任を押し付けようとし、行内の立場は日々悪くなっていく。
半沢は倒産した社長を追いながら、行内の諮問委員会で激しい詰問を受ける。
このまま子会社に出向もやむを得ないと腹をくくるが、意外なところから協力者が現れる。
タイトルを見れば世代間のギャップを感じるかもしれないが、力強いサラリーマン小説だった。
根回しも大事だが、ゆずれないとことはゆずれないという半沢の姿勢は世代を超えて共感する。
数字が出てくる経済の話よりも、こういう泥臭い人間関係を描いたモノは面白い。

オレたちバブル入行組 (文春文庫)

オレたちバブル入行組 (文春文庫)