血涙(上・下)

作者:北方謙三PHP文庫
北宋初期を描いた「楊家将」の続編で、非業の死を遂げた楊業の息子たちの活躍を描いている。
父と兄を戦で亡くした六郎は、弟の七郎とともに、楊家軍を立て直そうとする。
宋は、北接する遼と臨戦状態にあり、遼に占領された燕州を取り戻すことを悲願としていた。
遼の勇将、耶律休可は、石幻果という宋の将校を捕虜にし、自軍に加える。
石幻果はすぐに頭角を現し、遼の将軍となり、耶律休可の片腕となり、皇族の娘を妻とする。
楊六郎と七郎は、騎馬隊を作り上げるが、父・楊業の3万の軍にははるかに及ばなかった。
宋と遼は緊張を高め、再び戦争を始める。耶律休可と石幻果の攻撃に立ち向かう、楊兄弟。
遼の優勢で戦は進むが、楊兄弟の活躍で、ひとまず休戦状態となる。
六郎は石幻果を行方不明になった兄の四郎だと見破るが、石幻果の記憶は戻らない。
父の遺した吹毛剣で、石幻果の記憶を呼び戻すが、兄弟の確執は激しくなる。
精強な楊家軍は常に遼との戦いの最前線に立たされ、疲弊していく。
水滸伝」「楊令伝」のスピンオフ的な作品だが、これはこれで面白かった。
乾いているのに、熱い。淡々としていて、男の死に様が過剰なまでに劇的。
この熱気を「水滸伝」や「楊令伝」に集中してほしかったな。

血涙(上) (PHP文庫)

血涙(上) (PHP文庫)