さえずる舌

作者:明野照葉光文社文庫
真幌は、パートナーで夫である悠介の援助を受け、都内にヒーリングスタジオを経営していた。
従業員にも恵まれ、年々売り上げは伸び、産業カウンセラーとしての仕事も増えていた。
そんなとき、芽衣という女性が働かせてくれとやってくる。
芽衣は美人で、頭もよく、経歴も申し分なかった。
芽衣がスタッフに加わり、真幌の事業はますます活況を呈する。
だが、芽衣を訪ねてくるストーカーのような女性が気になっていた。
また、真幌は、芽衣が些細なことで嘘をつくことに、かすかな違和感があった。
真幌がスタッフの微妙な変化に気づいた時から、芽衣への不信感が生まれる。
彼女の経歴を調査すると、過去に陰惨な問題を起こしていたことが明らかになった。
問題が起きる前に芽衣を排除しようとするが、芽衣の狂気が襲いかかる。
女性の内面を描くサスペンスだが、この作家はこの手の話は非常に上手い。
決してホラーではないが、現実に遭遇するかもしれない生々しさがあった。
もっと評価されてもおかしくない作家だと思う。

さえずる舌 (光文社文庫)

さえずる舌 (光文社文庫)