庭師 ブラック・ガーデナー

作者:高瀬美恵祥伝社文庫
フリーライターのさやかは、恋人と別れ、出版予定の本が中止となり、傷心のままマンションを購入した。
だが引っ越し早々、住民同士のトラブルに巻き込まれる。
老女が飼っている犬を、住民で幼稚園に飼う幼女がいじめているのを目撃する。
幼女を窘めるが、その後、老女の飼い犬はマンションのゴミ捨て場で解体された死体で見つかる。
老女は逆上し、幼女の仕業だと詰め寄るが、その後、幼女も非常階段から投げ落とされて死亡する。
さやかの隣には精神に異常をきたした親子が住んでおり、非常階段の開け閉めでトラブルとなった。
警察を呼ぶが、根本的な解決とはならなかった。
その後、さやかは親しくなった主婦と引きこもりの高校生から、このマンションの住民を監視しているサイトを教えられる。
それは、住民だけしか知らない会話や行動までがつづられ、アクセス数が着実に伸びていた。
不特定多数の人にプライバシーを覗き見られているおぞましさから、さやかはマンションを出ていこうとする。
だがある夜、住民同士が疑心暗鬼に陥り、最上階での殺人事件がきっかけで、破滅は突然訪れた。
これは意外な掘り出し物だった。まずマンションに住む住民たちが程度の差はあれ、壊れているので不安感をあおる。
加えて、マンションができる前に、過去に起きた不可解な殺害事件が判明し、さまよう幽霊におびえるさやか。
極めつけはこのマンションの住民の行動が逐一、WEBサイトにアップされているという謎。
犯人は予想通りだったし、結末に向けてのストーリー展開に少し不満が残るが、面白かった。