40 フォーティ 翼ふたたび

作者:石田衣良講談社文庫

  • 文庫本裏書き

人生の半分が終わってしまった。それも、いいほうの半分が。
会社を辞めて、投げやりにプロデュース業を始めた喜一・40歳の元を訪れる四十代の依頼人たち。
凋落したIT企業社長、やり手の銀行マン、引きこもり・・・・。
生きることの困難とその先にある希望を見つめて、著者が初めて同世代を描いた感動長編。

  • 感想

喜一は40歳を手前に、大手広告代理店を退職し、先輩の会社に移籍したが、すぐに辞めてしまう。
かつての仲間に声をかけ、銀座の小さなビルで、広告代理店の下請けで糊口をしのいでいた。
喜一は40というタイトルのブログを書いていたが、アクセス数は段々と増えてきていた。
ブログを通じて、仕事の依頼もあったが、広告の仕事とはかけ離れた不思議な依頼が多かった。
7つの話が収録された連作集だが、それぞれが面白かった。
特に仲間が進行性の癌で倒れる終盤から、大がかりなイベントを成功させるクライマックスは良い。
正直なところ、東京至上主義が鼻につき、この作家にはあまりいい印象を持っていない。
だから作品はあまり読まなかったが、これは面白かった。
と言っても、過去の作品は、積極的に読みたいとは思わない。
今後、こういう作品が出てくるのなら読もうと思うが。

40 翼ふたたび (講談社文庫)

40 翼ふたたび (講談社文庫)